ボートレースでは、「待機行動違反」「フライング」「出遅れ」「妨害失格」「不良航法」など様々な細かなルールがあります。
競艇のルールは明文化が難しい点も多くあり、議論や八百長疑惑などの物議を醸し出すことも少なくありません。
この記事では、競艇初心者や上級者であってもためになる、ボートレースのルールについてわかりやすく解説します。
また競艇界隈には「暗黙のルール」というものも実は存在しています。
競艇ルールを知ることは舟券予想にも役立ち、あなたの競艇ライフをきっとより良いモノにしてくれることでしょう。
競艇とは?基本ルールを解説
1周600mの水面を3周し、合計1,800mを6艇のボートで順位を競い合う競技です。
※天候不順などにより周回短縮(2周)される場合もあります。
競艇ではどのレースも全て6艇で競い合い、競馬や競輪のようにレースごとに参加数が変動することはありません。
ちなみに、舟券の買い方が知りたい人は「競艇のネット購入方法」で詳しく解説しているのでチェックしてください。
また舟券を当てるための見るべきポイントについては、競艇初心者が勉強するべき8つのポイントで解説しています。
ボートレースは6艇で争う競技
1号艇から6号艇まで色分けがされ、観客は遠目からでも一目で何号艇か識別できるようにされています。
- 1号艇→白
- 2号艇→黒
- 3号艇→赤
- 4号艇→青
- 5号艇→黄
- 6号艇→緑
色分けはボートの側面に取り付けられた番号板と、艇の先端に取り付けられた艇旗(ていき)、さらに選手の勝負服と呼ばれる上着の色で分けられています。
以前はヘルメットも色分けされていましたが、現在ヘルメットは選手の所有物となっており、それぞれ趣向を凝らしたカラフルなヘルメットを着用しています。
ボートの色ごとの必勝パターンについては以下の記事で解説していますので、気になる方はチェックしてみると良いでしょう。
競艇独特なスタート方式について
競艇用のボート「ハイドロプレーン」は、一度エンジンを始動すると常に推進力となって前進してしまいます。(自動車やバイクのような変速機がなく、ニュートラルの状態を保てません)
そのため、よーいドンとスタートするのではなく、フライングスタート方式という普段あまり聞きなれないスタート方式が採用されています。
フライングスタート方式
1分間のカウントダウンが始まり、ジャスト0秒のタイミングでスタートラインを超えるスタート方式。
一点に留まることの難しい船舶(ヨットなど)で多く用いられるスタート方式です。
大時計
正式な名前は「発走信号用時計」といい、各レース場の水面近くに設置されています。
ピットからの発走時に「2分前表示灯」が点灯し、待機行動が終了すると「1分針」が回転を始めます。スタート12秒前になると「黄針」が回転をはじめ、選手はそれを見てスタートを行います。
スタートまでの流れ
- ピットの係留機につながれた状態でエンジンを始動
- ピット離れ(ピットからのスタート)の合図で一斉に係留機が解放されスタート前のコース取り(待機行動)へ走り出す
- 待機行動にてコースを決める(一部のレースではコース取りの出来ない「進入固定レース」があります)
- スタンド側に付けられた大時計が1分針を表示し、ちょうど0秒のタイミングでスタートラインを超えレース開始
スタートライン
水面中央に立てられたセンターポールと大時計の文字盤右端を繋いだラインを見通した線がスタートラインとなります。
スタートラインは同時にゴールラインでもあります。
競艇のコース取り・待機行動
競艇はオーバル型のコースを左回りに回る競技のため、最短距離を走行できるイン側が有利となります。
そのため、各艇はひとつでも内側のコースを取ろうと「コース取り」の駆け引きが行われますが、それが待機行動と呼ばれる時間内に行われています。
待機行動はレース場によって異なりますが、ピットの係留機が解放されてから40秒か50秒の時間が与えられています。
待機行動時間が終了すると、大時計の1分針(いっぷんしん)が動き出します。
ピットを出た各艇は、2マーク横にある「小回り防止ブイ(別名オレンジブイ)」を左にしながら回り、バックストレッチ側へ出たのち、2マークを回って「スタートライン」へ舳先を向けるとスタート体形となり、この動作を早く終えたものから順にコースの選択権が与えられます。
通常(一部のレース場では異なります)ピットからオレンジブイまで最も近い順に1号艇から並んでいますので、ピット離れで差が付かなければ1号艇が最も早く待機行動を終えることが出来ます。
イン屋と呼ばれるインコースからのスタートを得意とする選手では「前付け」と呼ばれる動作を行います。
前付けは、自艇よりも内側にいる選手を回り込んで抜き、先に2マークを回ってスタートラインに舳先を向ける行為ですが、勢いが必要なためスタート時間よりも早くスタート体形になってしまい、フライングスタート方式に必要な助走距離が取れなくなるリスクがあります。
これを「深イン(進入が深くなったインコースの意味)」と呼びます。
強引に前付けに行き、内側艇が少しでも抵抗すればさらに深いインになることがあり、その場合は外側艇、特に4コースなどのダッシュ艇にチャンス到来となります。
現在各レース場で使用されているモーター「ヤマト331型」という環境に配慮した出力低減モーターでは、整備やプロペラの形状、チルト角などで差はあるものの、最高速度に達するのに約100mの距離を必要とします。
フライングと出遅れ(FとL)
全ての艇がスタートラインに向き体形が整ったら、大時計の針を見て各艇自分のスタート感や目印(空中線標識など)を参考に、他艇より少しでも先行するためにギリギリのタイミングを狙いスタートしますが、その際、コンマ01秒でも早くスタートラインを超えてしまうと「フライング」となり、レース失格となる他にも、罰則が与えられるため選手は全神経を研ぎ澄ましてスタートに臨んでいます。
また逆に、大時計の針が1秒経過するまでにスタートラインを超えられなければ「出遅れ」となり、「フライング」同様にレース失格とペナルティが課せられます。
スタートの判定はレーザーや光電管による「スリット写真」で判定されます。
写真の右端の緑色の線がスタートライン。
競艇のスタート前におけるルール
ここからはさらに細かくルールをチェックしていきましょう。
それぞれレースの「スタート前」「スタート時」「レース中」とタイミングごとに関連するルールを順を追って説明してまいります。
スタート前に関連する主なルールは以下の表の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
適正な艇間隔 | 他艇との間隔、ターンマークとの間隔などバックストレッチ側ではボート2つ分、ホームストレッチ側では3つ分を安全確保のために開けなければならない |
追突など | 追突や故意の失速により他艇の進路を妨害してはならない |
転舵 | 接近する艇に向け転舵を行い進路を妨害してはならない |
右転舵 | 待機行動中の右舵は禁止されています (一部認められるケースもあり) |
ターンマークへの接触 | 艇を故意に接触させたり、手で掴んで艇の進行を防ぐ行為は禁止 |
モーターの停止 | 上記同様に艇の進行を遅らせることを目的とした故意のモーター停止は禁止されています 但し、故意でない場合は直ぐに再始動させれば問題なし |
割り込み行為 | 既にスタート方向へ艇を向けた他艇の内側に割り込む行為 |
逆航走 | スタート方向へ艇を向けたのち逆走する行為 |
コース取り
コース取りは競艇の勝敗を分ける要素のひとつであり、醍醐味のひとつでもありますが、競艇初心者の方には少し「何をしてるんだろう?」と分かりにくい面もあります。
競艇は内側が有利な競技のため、各艇できるかぎり内側からのスタートを切りたいと考えています。(中には「アウト屋」と呼ばれるアウトコースからのスタートを専門に行う選手がいます。アウト屋に関しては過去の記事で詳しく説明していますので是非そちらも参考になさってください)
通常は、出走表で示す艇番順に並ぶことが多いのですが、前述した「前付け」によってコース取りが行われます。
コース取りの際は他艇の進路を妨害する行為が禁止されています。
待機行動中
待機行動中もコース取りと共通したルールが適用されますが、特に気を付けなければならないのはスタートラインに対して距離を維持するために故意に行う「エンスト」や、蛇行、ターンマークなどへの接触による時間稼ぎが違反行為の対象となります。
回り直し
回り直しとは、前付けなどにより思った以上に艇が先へ進んでしまい、このままではスタートに必要な助走距離が通れないなどの場合、選手の判断によって再度「小回り防止ブイ」から2マークを回って進入をやり直す行為のことで、ルール上は認められています。
競艇のスタート時におけるルール
スタート時のルールは決められた時間にスタートを行えるかどうか、早すぎれば「フライング」、遅ければ「出遅れ」となる2点に絞られます。
いずれの行為もレース失格の上、舟券の返還対象となるため罰則が厳しいので選手にとってもっともナーバスなルールだといえます。
フライング(F)
大時計の針が0を示した際、スタート見通し線よりも前に出ていれば、それがたとえ0.1mmであっても「フライング」となりレース欠場、事故点、減点の対象になり、また斡旋停止、罰金、場合によっては「反省文」の提出などペナルティの宝庫ともいえる厳しさがあります。
出遅れ(L)
出遅れは逆に大時計の針が0秒から1秒を経過したにも関わらず、スタートラインを超えられなかった場合に失格が宣言される行為です。
ペナルティに関しては「フライング」同様に厳しい罰則となっています。
フライング、出遅れともに犯した選手にはレース失格ではなく、欠場が言い渡されます。
失格と欠場では大きく異なる点があり、それは「舟券」が返還されるかどうかです。
失格の場合「舟券」の返還は行われず、欠場となった場合は「舟券」の返還が行われますので、失格と欠場の違いについてはしっかりと把握しておきましょう。
競艇のレース中におけるルール
無事スタートを切り、レース本番となった際に影響するルールについてチェックしていきましょう。
待機行動時と異なり、直線では時速80kmもの速度で走行し、選手は生身の身体で戦っているので、安全面に留意したルールが主になってきます。
不良航法
レースを観ているとよく耳にする「不良航法」や「妨害(妨害失格)」、似たような行為に感じますが、このふたつには明確な違いがあります。
ひとつ「不良航法」はルール上で明文化されている行為で、以下の3つが不良航法に当てはまります。
- 追い抜き違反
「後続艇は先行艇を追い抜く際、左方向に見て追い抜くこと」とされています。
これはつまり、追い抜く際は右側(外側)からということになりますが、ターンマークでの攻防時など艇を内側に潜り込ませたり、差しを狙って左側から追い抜く行為もよく見られます。
追い抜きのルールへの記載後半には「ただし、安全な間隔がある場合はその限りではない」と記されており、状況によっては左側からの追い抜き行為も容認されています。 - 斜行違反
直線で他艇の進路を妨害するような斜行行為は禁止されており、一部の競艇場ではバックストレッチでの斜行そのものを禁止している場合もあります。 - ダンプ
ダンプとは自艇を他艇にぶつけ、相手を弾き飛ばしつつ自らはその反動で有利にターンを行う行為を指します。
ただし「水上の格闘技」とも謳われる競艇では、選手間の「接触行為」は容認されているのも事実でテクニックのひとつとして捉えることもできます。
このダンプが不良航法にあたるのは次の通り、「先行艇との間に相当の艇間隔(3~4艇身)があるにもかかわらず、バウ(艇の舳先)をあまり返さず他艇に突っ込んで相手を飛ばし、自らはその反動を以て前に出る行為」と記されていますので、他艇との艇間隔によって不良航法を取られることがあります。
妨害(妨害失格)
妨害はその名の通り、他艇の走行を妨害した際に発生します。
主な妨害行為は「転覆」や「落水」「沈没」などによって後続艇の進路がふさがれる場合です。
特に、後続艇を巻き込む形(後続艇も接触などで転覆などを起した場合)で発生した場合には妨害失格となり、ペナルティが課されます。
転覆・落水・沈没の違いとは?
よく似た言葉が並びますが下記の通り明確な違いがあります。
- 転覆
文字通り艇が転覆(裏返る)する状況ですが、選手は艇から離れずにいる状況となります。
ボートレーサー養成所で徹底的に教え込まれる乗艇時心得の最重要項目として、選手は転覆時にハンドルから手を離しては行けないというものがあり、これは艇から身体が投げ出されると後続艇などから轢かれてしまうリスクが高まるため基本として叩きこまれています。 - 落水
こちらも文字通り、選手が水面に落ちる状況を表しています。
転覆と違って艇自体が裏返っていなくとも、選手が遠心力などで放り出された状況を落水といいます。上述の通り最も危険な事故として扱われています。 - 沈没
競艇で使用されるボートは「ハイドロプレーン」といい、水面を滑空するように(子どもの頃によく遊んだ石切りのような状態)走行しますが、艇内に水が進入しやすく、またスロットレバーの握り方などでバイクのウィリーのような状況になり艇の後ろ側から大量の水を汲みこんでしまうことで沈没することがあります。
要因としては他艇に乗りあげられることが原因での沈没が最も多いと思われます。
事故艇発生時
選手も施行者もファンも望むことのない事故ですが、発生してしまった場合には、「緊急避譲義務」というルールにしたがって航走しなければなりません。
主なルールは、転覆時など、事故艇を救出に来たレスキュー艇の外側を大きく安全間隔をとって周回することが上げられます。(一部事故の場所によって内側周回もあり、毎回表示灯で指示が出されます)
ボートレーサー間に存在する「暗黙のルール」とは
ルールには明文化されておらず、選手間の暗黙のルールとして捉えられている事柄もいくつか存在しています。
代表的なものは以下の通りとなります。
新人選手は6コースからスタートする
競争経験の少ない新人選手は競い合いなどの状況での駆け引きや、乗艇技術そのものが未発達で事故のリスクが高いため、内側にいると他艇を巻き込む可能性があるため、出来るだけ外側でレースを行うしきたりがあります。
施行者(レース主催者)も、その点を考慮し、新人選手には5号艇や6号艇の枠番を与えることで自然とアウトコーススタートとなるように配慮がなされていますが、例外的に内側艇が与えられたとしても、新人選手は自発的にコース取りや待機行動中にアウトコースへ艇を向けることになります。
新人は高度なテクニックを使ってはいけない
競艇にはさまざまな勝敗を分ける決まり手がありますが、新人は高度なテクニックの使用が暗黙のルールで禁止されています。
具体的に禁止されているテクニックは以下の2種類です。
- しぼる
- ツケマイ
「しぼる」とは、外側にいる艇が第1ターンマークで捲りたい時にコースの内側に絞っていく場合に使われる技です。スタート直後にインコースの艇より前に出て旋回を先にさせないためのテクニックですが、高度なテクニックが必要なため、できる選手は限られています。
「ツケマイ」とは、他の艇と接戦で旋回する際に内側にピッタリと密着するようにしながら全速ターンで外から抜いていく技です。こちらも「しぼる」と同様に高度なテクニックが必要なので、新人では扱えないとされています。
どちらも完璧に決まればアウトコースでも着順を上げられるテクニックですが、決めるためにはスピードを緩めずに旋回するテクニックが必要です。
無理して行うと転覆や落水のリスクが高くなる危険性があるため、一般的には直属の師匠からの許可がなければ新人はレースで使うことができません。
とはいえ、暗黙のルールではありますので新人がレース中に使って厳罰があるかといえばそうではありません。しかし、周りの選手の危険性を考えない行動は厳しく糾弾されるため、ほとんどの新人選手が利用せずに守っているという状況です。
前付けしたら回り直しはしない
回り直しはルール上認められている行為であると前述でご説明しましたが、選手間の暗黙のルールとして、6号艇が大外から前付けを行った場合には、いくら進入が深くなったとしても回り直しをしてはならないという自主的なルールが存在しています。
もしこれを認めてしまうと、リスクを抱えることなく、内側艇に迷惑をかけるだけかけたのち、自艇は通常進入が可能になってしまうので、それではあまりにも不道徳だからです。
レース中の艇の接触は気にしない
妨害、もしくは妨害失格や不良航法に抵触しそうな接触行為ですが、選手間では「接触上等!」の気運があり、上位を競い合う状況での多少の接触は気にしないそうです。
ただし、選手によって仲の良い選手もいれば、どうにも気の合わない選手もいますので、気にくわない選手からの接触行為にはファンには見えないピット裏や選手宿舎でのいがみ合いも多々発生しているようなので興味深いことです。
新人がボートの洗浄を行う
新人選手は、レースの準備や片付けなどを率先して行うという暗黙のルールがあります。
そもそもレースの準備や片付けなどは養成所で習っているため、その流れで整理整頓や作法などは新人が率先して行うという風潮になっているようです。
また、レースが開催されている時は3日目と5日目の決められた日にボートを洗浄するのですが、新人選手は自分のだけではなく、同じ支部の先輩のボート洗浄を手伝わなければいけません。
自分の手が空いている際は近くにいる先輩を手伝うのが風潮になっていますが、この時間は先輩とコミュニケーションが図れる時間でもあるため、新人選手は勉強にもなります。
レース終わりの挨拶は必須
謙虚な姿勢と礼儀を重んじる競艇の世界では、レースが終了した後の先輩への挨拶は必須です。
普通であればレース終わりの挨拶は「ありがとう御座いました」や「お疲れ様でした」となるのが一般的ですが、競艇では「すみませんでした」というのが暗黙のルールです。
「すみませんでした」と挨拶する理由は諸説ありますが、「ありがとう御座いました」よりも角が立たずに低姿勢なイメージを持たれるということで、暗黙のルールとして定着したようです。
勝利者インタビューで喜びすぎない
前述したように競艇では謙虚な姿勢を重んじているため、勝利者インタビューでは喜びを爆発させないというのが暗黙のルールになっています。
スポーツの世界では、たとえばサッカーであればゴールを決めた後に派手にガッツポーズをしますし、野球でもホームランの後は大半の選手が喜びを爆発させています。
しかし競艇では、たとえ会心の走りで1着になったとしても、選手は調子に乗り大きくガッツポーズをすることはありません。
他の選手に対して敬意を払うというのが暗黙のルールで決まっているため、喜びは内に隠してこっそりと喜ぶのです。
「A1?」「B2?」競艇の級別とは?
競艇の級別とは、選手の成績によって分けられた4つのクラスのことで、上位からA1級、A2級、B1級、B2級となります。
級別 | 条件 | 人数 | 出場資格 | 年収 |
---|---|---|---|---|
A1級 | 成績上位20% | 約320名 | SG,G1,G2,G3 | 平均3000万円 |
A2級 | 成績上位20~40% | 約320名 | G2,G3 | 平均1800万円 |
B1級 | A1,A2を除く成績上位50% | 約800名 | G3 | 平均1100万円 |
B2級 | 上記以外の残り10% | 約160名 | 一般戦のみ | 平均 500万円 |
この成績は年に2回の審査期間を経て決定されます。
クラスは上位になるほど出場機会が増え、また賞金額の大きな大会へ出場できるので選手は少しでも上のクラスへ上がろう、またはクラスを落とさないように成績を積み重ねていこうとします。
なかでも、審査期間の終了間近になるとクラス分けの境界付近(ボーダー)にいる選手にとっては「勝負がけ」と呼ばれ、いつも以上に気合の入ったレースが繰り広げられることとなります。
級別の仕組みや審査の方法などについて知ることは、舟券予想にも大変役立つ情報となりますので、当記事でしっかりと学んでみなさまの舟券予想にお役立てください。
成績上位20%はA1級
SGやG1などの大舞台で活躍する選手からA2ギリギリの選手まで幅広く所属
現在競艇選手は約1600人と限られています。
その内の成績上位者20%にあたる約320名の選手が最高ランクのA1級となります。
成績上位20%になるのに必要な平均勝率(ボーダー)は6.20前後となります。
成績が上位20%であることに加え、A1級への昇格には以下の条件が含まれます。
- 選手全体の成績上位20%
- 2連対率が30%以上
- 3連対率が40%以上
- 事故率が0.70以下
- 出走回数が90回以上
A1級選手の1ヶ月平均稼働日は15日で、平均年収は約3000万円となっています。
成績上位20~40%はA2級
過去トップクラスだったベテランや中堅選手、成長中の新人選手まで幅広く所属
A2級も選手の数はA1級と同じ320名となります。
A2級になるのに必要な勝率の平均は5.40前後が多くなっています。
A2級の条件
- 選手全体の成績上位20~40%
- 2連対率が30%以上
- 3連対率が40%以上
- 事故率が0.70以下
- 出走回数が70回以上
A2級選手の1ヶ月平均稼働日数は15日で、平均年収は約1800万円です。
成績上位40~90%はB1級
2~3年目の新人選手からベテラン選手まで幅広く所属
競艇選手のクラスとしてはもっとも大所帯となるB1級選手は約800名。
B1級の勝率条件は2.00以上。
B1級の条件
- A1、A2級を除く成績上位50%
- 事故率が0.70以下
- 出走回数が50回以上
B1級選手の1ヶ月平均稼働日数は12日で、平均年収は約1100万円です。
残る10%がB2級
デビュー間もない新人から、事故などによる実力上位選手までが所属
B2級選手の数は約160名となります。
B2級は勝率2.00以下の選手、または事故率、および、出走回数を満たさない選手が対象となります。
B2級の条件
- A1級、A2級、B1級以外の選手
- 事故率が0.70以上
- 各級の出走回数を満たさない選手
つまりB2級の選手には、たとえ成績上位であっても事故率の高い選手、出走回数を満たしていない選手も含まれます。
B2級選手の1ヶ月平均稼働日数は8日で、平均年収は約500万円です。
競艇ルールまとめ
以上、今さら聞けない競艇ルールについてご説明差し上げてきましたが、これを読んでもよく分からないというのが実のところで、競艇関係者も選手もこのルールに関しては不明確で流動的な部分がよく指摘されております。
ルールの裁定を下すのは各レース場の審判員、審判長の判断に委ねるため、多少の齟齬は発生してしまいます。
また、肝心のルール違反による罰則についても簡単にまとめておきますと、次のようなペナルティが発生します。
- 事故点
競艇は予選競争で点数を稼ぎ、点数上位の選手から準優勝戦、優勝戦とコマを進めていきますが、事故点は累計した競争得点から罰則内容に応じた事故点(2~30点)が引かれるため成績に影響を及ぼします。主な事故点は下記の通りです。
内容 | 事故点 |
---|---|
不良航法・待機行動違反 | -2点 |
選手責任外の失格・欠場 | -0点 |
選手責任による失格・欠場 | -10点 |
妨害失格 | -15点 |
優勝戦以外でのFL | -20点 |
優勝戦でのFL | -30点 |
- 斡旋停止
フライングや出遅れ、その他重大な過失行為があった場合に下される審判です。
停止期間や運用ルールについてはまたの機会に詳しくお伝えしてまいります。 - 即日帰郷と即刻帰郷
ルール違反の重大さによってふたつのパターンでレース節からの除外を言い渡されます。
即日は2回走りなどで後半の出走が残っていた場合は、そのレースを終了したからの帰郷となりますが、即刻帰郷は即時退出が命じられ、競艇ルールの中でもトップクラスに厳しい処罰として知られています。
生命の危険すら隣り合わせの激しいレースなので、ルールは徹底して安全に迫力あるシーンを我々ファンに提供していただきたいと願っております。