競艇を楽しむ競艇ファンであれば「事故点」という言葉は聞いた事がありますよね。
「事故点」とは名前の通り何かしらの「事故」が起こってしまい、選手には「事故点」というものが課せられてしまいます。
しかし、迫力のあるボートレースですが、毎日開催されているために100%事故を回避することは難しいと言えます。
競艇では、ルール違反や事故を起こした場合には、事故点や処罰が与えられるなどのペナルティを課すこととなっています。
こちらでは、競艇の事故点や事故率、またそれからくる様々な影響についてご紹介したいと思います。
選手の級別にもかかわってくる事故点や事故率を知って、舟券予想に役立てましょう。
競艇の事故点とは?
事故点が累計されるのは、5月および11月より始まる級別審査期間です。
その間にカウントされていき、期間が終了となるとリセットされ、期間中ならば事故点は減ることなく加算されていきます。
事故点として加算されてしまうのは、選手責任による失格や欠場、そしてフライングなどの状況のときです。
特にフライングが一番重く、場合によっては重いペナルティを課せられてしまうこともあります。
競艇では、やってはいけない行為をすると事故点が加算され、たとえペナルティを受けたとしても、その事故点は消えるわけではありません。
事故率の計算方法
事故点は、選手データの事故率として反映されていきます。
事故率を見れば、選手の事故の多さもわかると同時に、選手の階級にも関わってくる大切な値です。
事故率はどんな計算から割り出されるのでしょうか?
事故点の合計÷出走回数=事故率
このような計算式で、事故率が割り出されています。
事故率の見方
事故率は、低い値の方が良いということを覚えておきましょう。
事故率が0.03と0.05を比較した場合、0.03の選手の方が事故率が少なくて良いということとなります。
また、もしも特別審査期間に事故率が0.07を超えてしまったのなら、選手はB2級へと降格となってしまい、大きなレースへ出場できず賞金も少なくなってしまいます。
競艇で事故点が課せられる状況
競艇でやってはいけない行為をした時に事故点が加算されますが、具体的にはどのような状況のときにおこるのでしょうか?
こちらでは加算される状況を解説していきます。
不良航法・待機行動違反の場合
競艇での不良航法とは、ダンプと呼ばれている他のボートをわざとふっ飛ばす悪質な走法のことをいいます。
安全な間隔がないのに追い抜いた時になどに取られることが多く、-2点が課せられレースの終了後に発表されます。
待機行動違反とは、待機行動中に他の選手にわざと接触したり、ホームストレートに入ったのちにスタートラインに背をむけたりと、自分にとって有利となる行動をとった時に取られます。
待機行動違反には、-2点の事故点が課せられ、レース終了後に発表されます。
レーサー責任外の失格・欠場の場合
選手の責任ではない転覆、落水、沈没、不完走、欠場等の場合には、0点となり、基本的には事故点は加算されません。
レーサー責任の失格・欠場の場合
レーサー側に責任がある転覆、落水、不完走、欠場等の場合には、事故点が加算されます。
加算される事故点は-10点です。
妨害失格の場合
妨害失格とは、後続艇を巻き込んで起きた転覆、落水させた場合のことをいいます。
転覆した理由に関わらず後ろのボートを巻き込んでしまったら、事故点は-15点となります。
優勝戦以外でのフライングの場合
事故点の中ではフライングは最も大きく加算され、優勝戦以外のフライングでは-20点もの事故点がついてしまいます。
優勝戦でのフライングの場合
優勝戦でフライングを起こしてしまったときには、さらに事故点は-30点とより大きな点数となってしまいます。
優勝戦では通常のレースと違い、事故点の点数が高くなっています。
それだけ、優勝戦は重要なレースと言えるでしょう。
事故点が厳しい!競艇のフライング
競艇では、静止してからのスタートができないために、フライングスタート方式を用いておこなっています。
事故点の中で、大きな点数となってしまう競艇のフライング。
フライングや出遅れなどが起きると、開催場所やファンにも迷惑となるため事故点が大きく設定されているようです。
では、フライングとは、どのようなスタート違反のことをいうのでしょうか?
スタート違反とは?
フライングとなるスタートのルール違反には、フライングと出遅れがあります。
競艇ではフライングスタートを用いているために、フライングしてしまうことが多く、フライングとは、スタート合図前なのにスタートラインを超えてしまうことのことをいいます。
出遅れは、スタートの合図よりも1秒以上遅れてしまうことです。
もしも、フライングや出遅れがスタートにあったとしてもレースは続行され、ルール違反した舟券を購入していれば、舟番号が絡む舟券は返還されるのがルールとなっています。
スタート事故のペナルティ
競艇ではスタート事故に関しては、事故点だけではなく厳しいペナルティも課されしまいます。
スタート事故をしたときのペナルティとしては、事故点の加算はもちろんのこと、斡旋停止、スタート再訓練、即日帰郷、即刻帰郷、引退勧告があります。
1回でもスタート事故を起こしてしまうと、運営側の負担となったり、さらには売上の低下にもつながってしまうため、1回のみでも斡旋停止となってしまうのです。
事故点が引き金となる事故パン
事故点の加算が増えてしまうと、選手の事故率が徐々に上がってきてしまいます。
この時、事故率が0.7を超えてしまっている場合や、0.7に近づいてしまったときの状態のことを事故パン状態よび、事故率によって階級が降格してしまったときのことを事故パンといいます。
例えば、選手の階級は急に落ちることはありませんが、A1級で前期を終えた選手が、後期にはB2級まで降格しているということがあります。
このような降格の幅が大きいときには、事故パンによって降格したということがありえるのです。
競艇の級別にも影響する事故点
事故点や事故率は選手に直接影響を及ぼします。
予選で稼いだ得点が、事故点により減点され、そこから出走回数で割った得点が予選の得点率となります。
せっかく予選で高い得点をとったとしても、事故点が高いと得点率が低くなってしまい予選突破が難しくなってしまうかもしれません。
結果として、事故率が悪ければ節間の予選突破や準優勝戦に出場できるかどうかとなる、得点ランキングにも影響を与えてしまうことになるでしょう。
さらに長期的な部分からみてみると、選手の階級となるA1、A2、B1、B2という階級にも影響を及ぼしてしまうこともでてきます。
競艇における減点99とは?
「減点99」とは、競艇のレースで選手が重いペナルティを受けた際に与えられる重大な減点です。
通常、減点が選手のレース結果や評価に影響を与えるのは事実ですが、減点99は特に厳しい処分であり、レースにおける失格や重大な規定違反が原因となります。
これは、選手にとってレース活動を続ける上で大きなリスクを伴うもので、選手のレース出場資格や評価にも長期的な影響を与えることがあります。
減点99が適用される主なケース
減点99は、特に以下のような状況で適用されることがあります。
- スタートフライングやフライング重複:特に重大なフライング行為が発生した場合。
- 不良航法や重大な危険行為:他の選手への妨害行為や、重大なレース運営への支障を来す行動があった場合。
- 優勝戦におけるフライング:優勝戦においてのフライングは、通常のレースよりも厳しいペナルティが課され、減点99が適用されることもあります。
階級別の事故率
競艇選手の級別審査は前期と後期、1年に2回行なわれています。
前期の級別審査対象期間は、前年5月1日~前年10月31日となっており、その後2ヶ月後の当年1月1日~当年6月30日の間までが級別実施機関となり、審査が反映されることとなります。
級別審査をする上で、事故率は需要なポイントとなってきます。
高い勝率を出したとしても、事故率が規定の範囲内に入っていなければランクをあげることができません。
級別でみると、B2級以外の階級では、全ての選手が事故率0.70を上回っていないことがわかります。
反対に、事故率が0.70を超えてしまったのなら、事故オーバーとなりどんな条件にも関係なくB2級まで落ちてしまうこととなります。
また、新鋭王座決定戦競争やレディースチャンピオン(女子王座決定戦競争)は、級別審査以外となるの任意の審査期間内を設定しています。
2012年開催以降からは、出場する全ての選手の事故率が0.40未満でければ、出場することができなくなりました。
なぜ競艇は事故点に厳しいのか?
これまでのように、競艇は事故点を設けて、スタート違反や事故のペナルティに厳しい競技となっています。
なぜこのように、厳しくなっていったのでしょうか?
実は、競艇では死亡事故が、ほぼ2年に1回のペースで発生しているのです。
実際に、過去60年で競艇では養成所も含めると31名もの死亡事故が起きています。
1980年まではこれほどのペースではありませんでしたが、1990年以降となった時にモンキーターンが主流となり危険性が高まってしまいました。
モンキーターンとは旋回する手法のことをいい、ボートに前傾姿勢で立ち上がって操縦することをいいます。
モンキーターンをおこなうことにより、舟の外側に重力がかかり通常のターンよりも高速回転が可能となりました。
特に、転覆したあとに後続のボートに接触してしまうと、交通事故と同じ程度の衝撃をうけることとなり、最悪の場合死にいたる事故となります。
また、死亡事故とならなくても、大きな後遺症を選手が抱えてしまうことになりかねません。
このような競艇という競技の危険性から、事故のペナルティ、スタート違反などに厳しい事故点が設けられるようになったのではないでしょうか?
まとめ
今回の記事では競艇における事故点についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
競艇の事故点が加算されると、事故率や階級にも影響が及ぼされ、さらにはレースによっては出場が危ぶまれることもある大切な項目です。
また、事故の種類によっては購入した舟券が返還されず、レースが終わる事なく舟券が無駄になってしまいます。
それも考えると、事故点は非常に重要な予想の要素となるので選手の勝率に目を向けると同時に、事故率にも目を向けてみてはいかがでしょうか?
舟券予想をする前に事故率の高い選手の購入はもう一度再検討しても、いいかも知れません。
また、その反対に、事故率が低い選手は事故に対して臆病になっていないので、精一杯走ることも考えられます。
競艇の事故点、事故率を上手に舟券予想に生かしていきましょう!