競艇では成績に応じてランク分け(級別)が行われています。
みなさんがよく目にするA1級やA2級は成績によって割り振られ、それぞれ賞金や参加出来るレースに違いがあります。
そんな級別には年に2回級別審査というものが行われ、各選手とも勝負がけといわれるボーダー上の選手の戦いは大注目となります。
この記事では選手のクラス分けの仕組みや、違い、上のクラスへの進級をかけた勝負がけ選手の心理や舟券予想への活用方法などを解説していきます。
勝負がけ選手を上手くねらってあなたの舟券予想も上位クラスを目指しましょう!!
競艇の級別とは?級別審査と2025年前期のA1ボーダーとA2ボーダー
競艇の級別とは、選手の成績によって分けられた4つのクラスのことで、上位からA1級、A2級、B1級、B2級となります。
級別 | 条件 | 人数 | 出場資格 | 年収 |
---|---|---|---|---|
A1級 | 成績上位20% | 約320名 | SG,G1,G2,G3 | 平均3000万円 |
A2級 | 成績上位20~40% | 約320名 | G2,G3 | 平均1800万円 |
B1級 | A1,A2を除く成績上位50% | 約800名 | G3 | 平均1100万円 |
B2級 | 上記以外の残り10% | 約160名 | 一般戦のみ | 平均 500万円 |
この成績は年に2回の審査期間を経て決定されます。
クラスは上位になるほど出場機会が増え、また賞金額の大きな大会へ出場できるので選手は少しでも上のクラスへ上がろう、またはクラスを落とさないように成績を積み重ねていこうとします。
なかでも、審査期間の終了間近になるとクラス分けの境界付近(ボーダー)にいる選手にとっては「勝負がけ」と呼ばれ、いつも以上に気合の入ったレースが繰り広げられることとなります。
級別の仕組みや審査の方法などについて知ることは、舟券予想にも大変役立つ情報となりますので、当記事でしっかりと学んでみなさまの舟券予想にお役立てください。
成績上位20%はA1級
SGやG1などの大舞台で活躍する選手からA2ギリギリの選手まで幅広く所属
現在競艇選手は約1600人と限られています。
その内の成績上位者20%にあたる約320名の選手が最高ランクのA1級となります。
成績上位20%になるのに必要な平均勝率(ボーダー)は6.20前後となります。
成績が上位20%であることに加え、A1級への昇格には以下の条件が含まれます。
- 選手全体の成績上位20%
- 2連対率が30%以上
- 3連対率が40%以上
- 事故率が0.70以下
- 出走回数が90回以上
A1級選手の1ヶ月平均稼働日は15日で、平均年収は約3000万円となっています。
成績上位20~40%はA2級
過去トップクラスだったベテランや中堅選手、成長中の新人選手まで幅広く所属
A2級も選手の数はA1級と同じ320名となります。
A2級になるのに必要な勝率の平均は5.40前後が多くなっています。
A2級の条件
- 選手全体の成績上位20~40%
- 2連対率が30%以上
- 3連対率が40%以上
- 事故率が0.70以下
- 出走回数が70回以上
A2級選手の1ヶ月平均稼働日数は15日で、平均年収は約1800万円です。
成績上位40~90%はB1級
2~3年目の新人選手からベテラン選手まで幅広く所属
競艇選手のクラスとしてはもっとも大所帯となるB1級選手は約800名。
B1級の勝率条件は2.00以上。
B1級の条件
- A1、A2級を除く成績上位50%
- 事故率が0.70以下
- 出走回数が50回以上
B1級選手の1ヶ月平均稼働日数は12日で、平均年収は約1100万円です。
残る10%がB2級
デビュー間もない新人から、事故などによる実力上位選手までが所属
B2級選手の数は約160名となります。
B2級は勝率2.00以下の選手、または事故率、および、出走回数を満たさない選手が対象となります。
B2級の条件
- A1級、A2級、B1級以外の選手
- 事故率が0.70以上
- 各級の出走回数を満たさない選手
つまりB2級の選手には、たとえ成績上位であっても事故率の高い選手、出走回数を満たしていない選手も含まれます。
B2級選手の1ヶ月平均稼働日数は8日で、平均年収は約500万円です。
級別審査の仕組みは?
級別審査は前期と後期にわけた半年間の成績を集計して決定されます。
級別審査レーサーの級別を決めるための審査。審査対象となる期間と基準が設けられている。級別審査の対象期間は毎年2回、前期が5月1日〜10月31日(適用:1月1日〜6月30日)、後期が11月1日〜4月30日(適用:7月1日〜12月31日)。勝率、複勝率、事故率などを基準に決められる。レーサーは、昇級や現級を確保するため期末にあたる4月と10月は勝負駆けとなる。
※引用元:ボートレースオフィシャルウエブサイト
級別審査は年2回前期と後期で行われる
級別審査は毎年5月1日から10月31日(前期)と、11月1日から翌年4月30日(後期)に行われます。
審査の結果所属する級別が適用される期間は、前期が1月1日から6月30日、後期が7月1日から12月31日までとなり、審査期間と適用期間がズレますので注意しましょう。
直近の審査期間と適用期間
審査期間 | 適用期間 |
---|---|
前期 2024年5月1日~10月31日 | 2025年1月1日~6月30日 |
後期 2024年11月1日~2025年4月30日 | 2025年7月1日~12月31日 |
審査終了間近の10月や4月、いわゆる「勝負がけ」と呼ばれる勝率ボーダー上の選手をチェックすることが舟券予想をする上で重要になりますので、この期間は頭に入れておくようにしましょう。
選手の各期の成績で級別が決まる
上記審査期間の選手成績「2連対率」「3連対率」「勝率」「事故率」「出走回数」で級別審査が行われます。
審査項目 | 計算方法 | A1級条件 | A2級の条件 |
---|---|---|---|
2連対率 | 2着以内の回数/出走回数 | 30% | 30% |
3連対率 | 3着以内の回数/出走回数 | 40% | 40% |
勝率 | 着順点※の合計/出走回数 | 平均6.20 | 平均5.40 |
事故率 | 事故点※の合計/出走回数 | 0.70以下 | 0.70以下 |
出走回数 | 審査期間内の出走回数 | 90回 | 70回 |
1着 | 2着 | 3着 | 4着 | 5着 | 6着 |
---|---|---|---|---|---|
10点 | 8点 | 6点 | 4点 | 2点 | 1点 |
内容 | 事故点 |
---|---|
不良航法・待機行動違反 | -2点 |
選手責任外の失格・欠場 | -0点 |
選手責任による失格・欠場 | -10点 |
妨害失格 | -15点 |
優勝戦以外でのFL | -20点 |
優勝戦でのFL | -30点 |
級別は定数制
競艇の級別審査は定数制の相対評価となります。
そのため、一定の勝率をクリアしたからといって必ず昇級できるわけではありません。
定数の分布は先に説明した通りA1級が20%、A2級20%、B1級50%、B2級10%なので、直近の競艇選手数1601名(2024年10月1日時点)で計算すると、以下の通りとなります。
- A1級:320名
- A2級:320名
- B1級:800名
- B2級:161名
勝率をはじめとした審査項目の数字は出走ごとに激しく入れ替わるため、審査期間終了間近となる10月や4月にはボーダーライン上の選手による激しい「勝負がけ」が行われますので、舟券予想の際にはねらっている選手が得点上どのような位置にいるのかをチェックすとよいでしょう。
最新の級別状況
現在ちょうど前期の審査期間終了間近のため、最新のボーダー状況をまとめておきますので参考になさってください。
2025年前期A1級への勝負がけ選手 A1ボーダーの選手
A1級ボーダー上の10名の選手
順位 | 登録番号 | 選手名 | 現在の級 | 勝率 | 2連対率 | 3連対率 | 出走回数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
315位 | 3983 | 須藤博倫 | A1 | 6.24 | 45.1% | 61% | 113 |
316位 | 4927 | 関野文 | A1 | 6.24 | 43.5% | 64.7% | 85 |
317位 | 5043 | 中村日向 | A1 | 6.24 | 48.6% | 61.8% | 76 |
318位 | 4119 | 泥谷一毅 | B1 | 6.23 | 42.3% | 63% | 92 |
319位 | 3499 | 市川哲也 | A2 | 6.23 | 45.5% | 62.2% | 90 |
320位 | 4857 | 加藤翔馬 | B1 | 6.23 | 43% | 64.6% | 65 |
321位 | 4530 | 小野生奈 | A1 | 6.23 | 39.3% | 57.3% | 61 |
322位 | 4953 | 尾上雅也 | A1 | 6.22 | 49.6% | 61.6% | 125 |
323位 | 4012 | 中村有祐 | A2 | 6.22 | 47.9% | 62.6% | 123 |
324位 | 4033 | 伊藤将吉 | A1 | 6.22 | 47.9% | 63.2% | 98 |
ボーダー上の注目選手はB1から一気に駆け上がってきた「泥谷選手」と「加藤選手」ですが、加藤選手の出走回数が規定に達するかどうか微妙な所ですが、A2はほぼ間違いなく昇級は確実です。
2025年前期A2級への勝負がけ選手 A2ボーダーの選手
A2級ボーダー上の10名の選手
順位 | 登録番号 | 選手名 | 現在の級 | 勝率 | 2連対率 | 3連対率 | 出走回数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
635位 | 4496 | 内堀学 | A2 | 5.47 | 38% | 56.5%% | 92 |
636位 | 3746 | 岡瀬正人 | A2 | 5.46 | 35.4% | 53.4% | 127 |
637位 | 3747 | 國崎良春 | A2 | 5.46 | 35.5% | 52.3% | 107 |
638位 | 4383 | 竹田吉行 | A2 | 5.46 | 36.2% | 56.8% | 102 |
639位 | 4396 | 大田直弥 | B1 | 5.46 | 34% | 60% | 100 |
640位 | 4486 | 野村誠 | A2 | 5.46 | 35.8% | 55.5% | 81 |
641位 | 4649 | 和田操拓 | A2 | 5.45 | 33.9% | 50% | 86 |
642位 | 3635 | 石田政吾 | A2 | 5.45 | 37.3% | 53.5% | 99 |
643位 | 4011 | 堀之内紀代子 | B1 | 5.45 | 33.3% | 51.5% | 99 |
644位 | 3470 | 新田芳美 | B1 | 5.45 | 35.9% | 55% | 89 |
ボーダー上の注目選手は1年ぶりにB1からの返り咲きをねらう「大田選手」と、女子選手二名。
コンマ02の中にひしめき合っている状況なので、10月中のレースでこれらの選手が出走するレースは要注目です。
気になる各級の選手の生活や稼ぎ
競艇ファンにとって気になるのが級別の選手たちの稼ぎや生活スタイルではないでしょうか?
ここでは、級別の選手の生活や収入について解説いたします。
A1級の生活スタイルと賞金や年収は?
SGの中でも最高賞金を誇る年末の「グランプリ」優勝賞金はなんと1億1千万円。
しかも、このレースへの出場資格は獲得賞金上位18名となっていますので、年収は2億円を超える場合もあります。
A1級の平均年収は約3000万円とご説明しましたが、A1級320名の中でも大きく収入は違ってきます。
例えば、現時点での勝率トップ(成績上位1位)と、ボーダー上(成績320位)選手の獲得賞金額を比べてみると以下のようになります。
成績(勝率順位) | 選手名 | 獲得賞金 |
---|---|---|
1位 | 峰竜太 | 76,432,333円 |
320位 | 加藤翔馬 | 18,000,000円 |
※加藤選手の獲得賞金額は開示されていませんので、本年度の出走回数106回、優出回数0回、優勝回数0回などから推測した金額となっております。予めご了承願います。
A1級の平均年収3000万円は、億超えの選手と1千万円台の選手の平均値となり、実際の中央値とは異なっています。
そういう意味ではA1級といえども、上位100名あたり、理想的には50名以内にいなければ思った以上に金銭面で裕福というわけでもありません。
ただし、A1級選手の場合レース場からの斡旋(レースへの参加案内)が多く、月の稼働平均日数15日と説明いたしましたが、選手によってはほぼ休みなくレースからレースへとなり、せっかく稼いだ賞金を使う暇がないといった状況から、お金がどんどん貯まっていくなんていう選手もいらっしゃるので羨ましい限りです。
A1級の常連選手であれば、ご自宅に趣味の部屋やトレーニングルーム、特に人気なのはホームサウナで日々体重管理には気をくばられています。
A2級の生活スタイルと賞金や年収は?
A2級もA1級同様に平均収入の1800万円には、およそ1000万円〜3000万円程度の幅があります。
平均的な選手の日常として、レースのない休み期間はそれぞれ趣味に時間を費やされたり(ゴルフなど)トレーニングとかで過ごされるケースが多いようです。
以前は持ちペラ制のため休みの日も終日ペラを叩く、まるで鍛冶屋さんのような生活スタイルでしたが、現在はレース場の所有となったオーナーペラ制が導入されましたので、時間的にはかなりの余裕が生まれたと思われます。
レースへの参加は斡旋と呼ばれ、通知があり選手が参加の可否を決めることができます。(斡旋拒否)しかし斡旋拒否を続けるとそのレース場からお呼びがかからなくなってしまうので、余程の事情がない限り斡旋拒否は無いと思われます。
B1級の生活スタイルと賞金や年収は?
このクラスになると800名が所属するので、年収の幅もさらに広がってきます。
600万円程度から上は2500万円程度ではないかと思われます。
このクラスの選手はレースに対する考え方も違いが大きく、とくにベテラン選手の中には無事故で続けられれば良いと、どちらかといえば勤め人気質の選手もたくさんいらっしゃいます。
逆に新人選手の昇格組や、A2やA1からの降格組は斡旋のない時間もレースのために時間を費やし、ぺラゲージの調整やホームプールでの乗艇など積極性があり、ひとくちにB1級の選手とくくれないのがファンにとっても興味深いのではないでしょうか?
また舟券を予想する上でも、単純に〇級の選手だからと判断せずに、どのような環境下にいる選手なのか少しイメージするだけでもレースに対する姿勢が見えてくるので是非選手の級別の背景にまで迫ってみてください。
B2級の生活スタイルと賞金や年収は?
B2級の場合、事故点やフライング休み、産休、事故などで出走回数の規定をクリアできなかった実力上位選手が含まれますが、今回は純然たるB2級の選手に絞って解説させていただきます。
B2級の所属選手で最も多いのが、養成所を卒業したばかりの新人レーサーたちです。
水神祭と呼ばれる初1着を目指して日々努力を重ねる一方、金銭面では思いのほか苦労することもあります。
一番苦労するのが選手に必要な自前の装備品。
主な選手負担の装備品は下記の通りです。
ヘルメット | グラスファイバー製で約4万円カーボン製なら16万円と非常に高価です。新人レーサーは卒業時に養成所からひとつもらえるので不要な場合もあります。選手によってはオリジナルのペイントを施されることもあり、ペイント代は平均5〜15万円です。安全用品のため、レース規定で使用期限が3年間となるため、3年ごとに買い替える必要があります。 |
---|---|
予備シールド | ヘルメットの前面に取り付けるシールドは、天候やナイターなど明るさによって交換したり、水滴で汚れた際の予備として多い方で3枚、少なくても1枚は購入されています。価格は1枚8000円。 |
ケブラーパンツ | 高速で回転するプロペラから身を守るために、耐切創性に優れた素材がサンドイッチされたパンツで、価格は25000円です。こちらも使用期限が8か月間と定められています。 |
ケブラーシューズ | アシックス製5万円、ヤマト製4万円の2種類から好みに応じて選ばれています。見た目はアシックス製がかっこよいのですが硬くて乗艇にはヤマト製の方が動きやすいです。 |
ケブラーグローブ | こちらも数社から専用品が販売されており、カラーオーダーなどが可能です。1組4000円~8000円。 |
ケブラー靴下 | ここまでケブラーで保護するのかと驚きますが、安全が第一です。1足1500円。 |
カッパ | ケブラーパンツの上に履くナイロン製のカッパです。こちらは特に指定がないのでオリジナルで作られたり、ファンの方からプレゼントでいただいたもの、スポーツメーカーのものと様々です。カッパは、待機行動中とくにインコースのスロースタート時に、前進を少しでも遅らせようと選手がモーターの上におしりを置く姿をご覧になったことがあるかと思いますが、あの行動によって思いのほか早くおしりの部分が痛むため消耗品です。1枚約5000円~10000円。 |
プロペラ | 現在はオーナーペラ制というレース場からの借り物を使用するので、選手が自前で持つ必要はなくなりましたが、自宅でペラを叩く練習用に購入される選手もいらっしゃいます。通常は所属支部の先輩や師匠からいただけることが大半だと思います。ヤマト製1枚25000円。 |
ぺラゲージ | ペラの調整用のプラスチック製の専用ゲージ。昔は全て手作りしていましたが、今は業者さんが販売しているセットを利用されるケースがほとんどです。ぺラゲージ18本セット24000円。 |
プラグ | NGK製のレーシングプラグは選手の負担品で、一般店での取り扱いのない専用品番なので、通常はレース場の宿舎内にある売店で購入します。1本2500円。 |
これ以外にも細かい部分で、選手は自前の持ち物全てに登録番号と氏名を記さなければなりませんので、オリジナル刺繍ワッペンや、カポックの下に着るTシャツなど思った以上に出費がかさみ、まだ賞金を稼げていない選手にとってはかなりのダメージとなります。
あわせて、レース場までの交通費も選手の負担(レース終了後に既定の交通費は支給されますが)となるので、B2選手のレース数や成績ではアルバイトが必要な方もいらっしゃいます。
しかし、アルバイトをしているとレースが疎かになってさらに悪循環なんていうことにもなりかねませんので、1日も早く勝利を重ねてクラスアップされることを願うばかりです。
競艇級別まとめ
ここまでプロフェッショナルとして実力主義の実態をお伝えしてまいりました。
ひとくちに競艇選手、ボートレーサーといってもCMで語られるような平均年収1800万円の華やかな世界ではありません。
級がひとつ違うだけで、稼げるチャンスはとてつもない格差となってしまうからです。
競艇ファンにとっても、この厳しい現実をしることで、特に期末の「勝負がけ」選手の見極めをしっかりとすれば、舟券予想の上でプラスになること間違いなしですので、この記事が参考になればうれしく思います。
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